“おらおらでひとりいぐも”

若竹千佐子
河出書房出版社

P.12
ああ確かに。飛び飛びで細切れの逃げる思考を捕まえるのは容易でないが、それでも年齢からすれば今がまとまって物を考える、絶好かつ最後のチャンスかもしれない。あと何年。とにかくこの状態を維持しながら、あと何年生きられるのか。んだ。これからは常に逆算して、ものを考えなければならないのであって 。
本書 P90
······おらくやしいのは新しい女のつもりだった。家に縛られない。親の言いなりにならない。それで出てきた。故郷を捨てだ。で、それで何だったか。結局古い生き方に絡め取られた。誰それのために生きるという慚愧怨念の行き方をしてしまった
P.114
自分がわかっていると思っていたのが全部こんな頭でっかちの底の浅いものだったとしたら、心底を身震いがした。もう今までの自分では信用できない。おらの思ってもみなかった世界がある。そごさ、行ってみって。おら、いぐも。おらおらで、ひとりいぐも。
切実は桃子さんを根底から変えた。 亭主がいまある世界の扉を開いたのだ。
桃子さんが抱えた秘密、幸せな狂気。桃子さんはしみじみと思うのだ。悲しみは感動である。感動の最たるものである。悲しみがこさえる喜びというのがある。
桃子さんは75歳です。
都会人になって51年。
ジャズが頭のなかを駆けめぐる、小幡彩貴さんの挿し絵のような都会のおば様です。
おや。これは作者??
P124
亭主が死んで初めて、目に見えない世界があってほしいという切実が生まれた 。 何とかしてその世界に分け入り何とかしてその世界に分け入りたいという欲望が生じた。
帯より
ほんとはね、本当は「独りがいい」。出会いも歓びだが、死別も解放だ。地声で語られた女の本音が炸裂!
ー上野千鶴子氏 (社会学者)
ー上野千鶴子氏 (社会学者)
Ora Orade Shitori egumo
(by宮沢賢治 “春と修羅 永訣の朝”)
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by bookcafe-saredo
| 2018-02-04 23:13
| 本の紹介