“わりなき恋” |
テレビに出られているのを見て
感動しました。
御年83歳ですか?!
あまりに変わりなく、美しく素敵でした
そしてとうとう、
“わりなき恋” を読みました。
ツリーハウスにいた時 S氏が、
「岸惠子さんが、75歳も過ぎて官能小説を書いたんだってね。」
と話されていたのを思い出し、
偶然入荷したので、読んでみました。
官能小説なんて取り沙汰されていたので、
手に取りにくかったのですが、
岸惠子ファンとしては
やはり一度は 読んでみたかったのです。
69歳 井野笙子ドキュメンタリー作家と
58歳 九鬼兼太 大会社取締役の
7年に渡る、甘く広大な 道ならぬ恋。
どこを切りとっても美しい
フランス映画のような小説でした。
心をぞわりなきものとおもひぬる
見るものからや恋しかるべき
こうして逢えているのにまだ恋しさが募る、
というような意味だと思うの。『わりなき恋』を理と書くのは当て字だけれど・・・・
理屈や分別を超えて、どうしょうもない恋。どうにもならない恋、苦しくて耐えがたい焰のような恋のことだと思う。笙子、覚悟ある?」
こともなげに言った砂丘子の言葉。
ー本文より
問題の官能場面についても、
笙子さんが産婦人科を受診するような
初老女性のリアルさはあるものの、
あくまでもフランス映画のように美しく
丁寧にことばを選んで描かれています。
一人で生きる事にあまりにも慣れ親しんでいた笙子さんが
「わりなき恋」に落ちてしまった自分に
だれより一番 驚いたんでしょうね?!
そんな最後の恋を美しく残したかったのでしょうか?!
全編 岸惠子ワールド満載の、
とっても お洒落な本でした。
現実味のない、大人の童話です。
飛行機のファーストクラスに乗ったことのない庶民の私には、
無縁の世界、だから見たい!
岸さんの描かれた、普段見れない世界だから、覗いてみたい!
そんな作品でした。
「どうです?
83歳になっても素敵でしょ!」
と、おしゃれに堂々と女優を貫いておられる岸惠子さん。
やっぱり素敵です