#116 わたしが棄てた女 |
遠藤周作
講談社文庫
今や伝説の人、狐狸庵先生
ダバダ~
のコーヒーCMであまりにも有名です。
作家先生がテレビCMに出演!
当時はとても センセイショナルでした
まだ高校生だった頃、
敬虔なクリスチャンだった狐狸庵先生の
この 「私が棄てた女 」に出逢いショックを受けました。
ハンセン病患者というだけで、親類縁者からも離れ、
病院に隔離されなければならない。
そんな現実を知ったのもこの本でした。
「苦しいのは……誰からももう愛されぬことに
耐えることなのよ」
とハンセン病患者の一人が言っています。
愛されることの少なかった 主人公ミツは
初めて好きになった人に
裏切られ、ボロギレのように棄てられ
悲しみのどん底に追いやられます。
病院に入ることで、
みんなから愛されることになり、
そこでミツは幸福だったのでは、という気がします。
ミツのけなげさがあまりにも悲しいです
現代医学でハンセン病(ライ病)は治る病気で
隔離されることもありませんが、
北条民生の「命の初夜」と共に
若い人に 一度は読んでもらいたい一冊です。