#325 金子みすゞ全集 |
金子みすゞ
JULA 出版局
わたしと小鳥と鈴と
わたしが両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥はわたしのように、
地面(じべた)をはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴はわたしのように、
たくさんなうたは知らないよ。
鈴と、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。
お魚
海の魚はかわいそう。
お米は人につくられる、
牛はまき場でかわれている、
こいもお池でふをもらう。
けれども海のお魚は
なんにも世話にならないし
いたずら一つしないのに
こうしてわたしに食べられる。
ほんとに魚はかわいそう。
大漁(たいりょう)
朝やけ小やけだ
大漁だ
大ばいわしの
大漁だ。
浜はまつりの
ようだけど
海のなかでは
何万の
いわしのとむらい
するだろう。
こんな写真に
みすゞさんの苦悩が感じられます。
せつないです