M氏本の紹介 その2 |
M氏2月の本の紹介は
村松友視の「俵屋の不思議」です!
M氏本の紹介 その2
村松友視『俵屋の不思議』(幻灯者文庫) 2011.2
昨年11月にTV「徹子の部屋」村松友視が出演した。近著『帝国ホテルの不思議』(日本経済新聞社2010.11)をテーマにトークが流れた。
帝国ホテルが日本一のホテルとして世界のセレブの支持を得つづけているのは
何故なのか ? 村松はホテルの総合サービスの、夫々の部分を支える直接お客さんに接している人たち(バーテンダーとかドアマンなど)の仕事ぶりを紹介した。その席で前に著した本著に触れて、徹子さんは彼の“見る眼”“その視点”を絶賛した。
村松は、吉行淳之介の弟分を自認し、吉行の死後書いた『淳之介流―やわらかい約束』(河出書房新社2010.2)を読んだ。半同棲している宮城まり子が時々
“荒れて”その時の吉行の言動を取り上げるなどして、吉行の生き様の“やわらかさ”を浮かび上がらせていく。氏を畏敬する心情がそれこそ“やわらかな”筆致で綴られている。そんな村松の語りを読みたくなった。
「俵屋」「柊屋」「炭屋」が京都の老舗旅館の代表格と言われている。30余年前に1泊したこがある。超高級旅館に泊まるには年齢身分共に相応しくなかったが、“京都のトップレベル”の匂いを嗅いでみたかったのである。その時のサービスの極致の印象は今でも強く残っている。「徹子の部屋」を観て、同格の「俵屋」について、村松の文章をすぐにも読んでみたくなり、AMZONで取寄せた。
前置きが長くなりすぎた。
松村は「俵屋」のサービスを演出している人たちにアプローチしている。オーケストラで言えば各楽器の奏者がの“役割=仕事への向き方”に、何よりも指揮者たる女将の佐藤 年(とし)さんに、深く迫って書いている。
その日の宿泊客と“最高の寛ぎ”を味わってもらおうとする人たちとの、言わば一期一会の時と場を、マニュアルを突き抜けたところ/形で営まれていることを、村松は温もりのある言葉で紡いでいく。
まるで、固唾(かたず)を飲んで舞台上の能を観賞したが如しである。演者が幕に入っても余韻が暫く身に留まっている、そんな幸せ感に満たされた。
ああ、何としても「俵屋」さんの舞台にでも見所にでも身をおいてみたいものである。。
村松友視さん
個人的には4年ぐらい前、
加古川プラザホテルで
1時間半ぐらいの講演を見せていただいた、記憶があります。
村松氏の作品といえば「時代屋の女房」しか読んだことがなかったので、
図書館であわてて、4~5冊取り寄せ、にわか勉強をしましたっけ!
確かその中に「鎌倉のおばさん」という本があって、
鎌倉という地名に引きつけられ、
氏の生い立ちのようなことが書かれてあったので、
一気に読んでしまった覚えがあります。
村松氏の印象は、グラス片手にカウンターが似合う
「お話上手なダンディなおじさま」
って感じで、とても素敵でした
「俵屋の屋の不思議」が、気になられた方は、
されど・・・において下さっていますので、
是非、ご一読を!!